宗教法人 犬の良さ

司法試験、予備試験、ロー入試の過去問解答案

H30京大ロー過去問 憲法

1 監視カメラによるC本部入口付近の撮影について

(1)みだりにその容ぼう・姿態を撮影されない権利は個人の私生活上の自由として憲法13条で保障されている。(京都府学連事件)

(2)上記行為はかかる自由を制約しているといえる

(3)上記制約は正当化されるだろうか。

 

ア 本件の情報収集行為において、公共の福祉の為必要のある場合に相当の制限を受けることは憲法13条の趣旨において明らかである。そこで、①当該手段の目的が正当で、②手段が相当性を有する場合、正当化されると考える。

 

イ 本件で監視カメラの設置されたB地区は日雇い労働者や路上生活者が多く住んでおり、観光客から怖い思いをしたという声が多く寄せられていた。そこでA地区は正確な現状把握の為監視カメラを設置した。設置の効果として犯罪等の発生の確認、抑制に繋がるため、公益上の目的として正当性を有する(①充足)。また、本件で設置された監視カメラは問題となっている地区に限定して設置されていること、画像の保存期間が2週間と限定されており、不適切利用に関する配慮がされている。とはいえ不適切利用の可能性が全くないとは直ちに言えず、Xのプライバシーが全く侵害されていないとは言えないが、現状把握の為にはやむを得ないため、手段は相当性を有するさ(②充足)。

ウ したがって、上記行為は憲法13条の趣旨に反しないと考える。

(4)よって、監視カメラによるC本部の撮影は合憲である。

 

2 Dへの情報提供によりⅩの上記自由は侵害され憲法13条に反しないか。

(1)まず、Xの上記自由がDへの情報提供により侵害されることは明らかである。

(2)それでは上記制約は正当化されるだろうか。

 

ア 人の容ぼうについては終生不変である点で指紋と異なるところはない。その利用法次第で個人の私生活・プライバシーが侵害される危険性があることは明らかである(指紋押捺拒否事件)。もっとも、容ぼう等の情報は秘匿性が高いものとは言えず、慎重な取り扱いがなされれば憲法13条に違反しないといえる。

 

イ 本件では、現状把握の為に収集されたいた情報をDがXがどのような人物であるかを把握するために用いられており、目的外利用であるといえる。また、Dが立腹したという理由でXに対する情報を収集した。以上を踏まえると、本件情報提供は慎重な取り扱いとは言えないと考える。

 

ウ したがって、上記行為は憲法13条の趣旨に反すると考える。

 

(3)よって、本件情報提供は憲法13条に反し、違憲である。

以上。

 

問題を見た際に頭に浮かぶべきこと

・容ぼう・姿態をみだりに撮影されない権利は保障されている

京都府学連事件

・手段の目的が正当であり、相当性があること

・容ぼう等の情報は終生不変である点指紋と変わらない点

指紋押捺拒否事件

・容ぼう等の情報は秘匿性が高いものではないということ